検査項目解説
検査名 | 副腎皮質刺激ホルモン/コルチコトロピン |
英検査名 | Adrenocorticotropic Hormone/Corticotropin |
検体基準範囲 |
ACTHは血中では非常に不安定で、分解されやすいためEDTA入りの容器で採血後、直ちに冷却遠心し冷凍保存する。検体は速やかに測定する。コルチゾールは早朝安静時に採血し、速やかに測定するか、凍結保存する。 血漿(ACTH):7.2~63.3pg/mL 血清(コルチゾール)5.0~17.9μg/dL(早朝安静時) |
測定法 | ECLIA |
基準範囲出典 |
1.阿部 正樹 他:医学と薬学 57(2):239-244,2007 2.奈須下 亮:日本臨床 63(増8):199-201,2005 3.Demers LM: In Tietz Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Diagnostics, 2006; pp 2014-2027 4.Petersen KE: ACTH in normal children and children with pituitary and adrenal diseases I. Measurement in plasma by radioimmunoassay-basal values. Acta Paediatr Scan 1981;70:341-345 5.千原和夫ほか:臨床医学の展望2009 内分泌学.日本医事新報 4424:15-21,200 |
解説 |
この検査の目的は副腎皮質機能異常の診断と評価である。ACTHは下垂体前葉から分泌されるポリペプチドで、副腎皮質からのコルチゾール分泌を調節している。分泌はパルス状のためコルチゾールの分泌もパルス状になる。ACTHの分泌は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンとコルチゾールによるネガティブフィードバックで調節されている。臨床的には視床下部-下垂体-副腎皮質系疾患の診断、病態解明に用いるほか、副腎皮質機能低下症の原因究明に用いる。また、ステロイド剤長期服用患者の副腎皮質機能のモニタリングにも用いられる。検査は早朝、夕方、深夜に一日/3回、血中コルチゾールや尿中遊離コルチゾールと同時測定することが望ましい。その他DOC、DHEA、アルドステロン、エストロゲン、テストステロンなどの測定も必要となる。ACTHとコルチゾールが共に高値の場合はデキサメサゾン抑制試験を行いCushing症候群の鑑別を行う。また、コルチゾールが低値ならACTH負荷試験を行う。 ACTH高値(血漿):ACTH不応症、Addison病、Cushing症候群、Nelson症候群、グルココルチコイド不応症、異所性ACTH産生腫瘍、異所性CRH産生腫瘍、先天性副腎皮質過形成 ACTH低値(血漿):ACTH単独欠損症、 Cushing症候群、下垂体性下垂体機能低下症、視床下部性下垂体前葉機能低下症、原発性副腎皮質結節性過形成 ACTH高値/コルチゾール高値:Cushing病、異所性CRH産生腫瘍、グルココルチコイド不応症 ACTH高値/コルチゾール低値:ACTH不応症、Addison病,Nelson症候群、先天性副腎皮質過形成 ACTH低値/コルチゾール高値:原発性副腎皮質結節性過形成、副腎腫瘍性Cushing症候群 ACTH低値/コルチゾール低値:ACTH単独欠損症、下垂体性下垂体機能低下症、視床下部性下垂体前葉機能低下症、薬剤(デキサメサゾン) |