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微生物検査

[菌種別]Clostridium

Clostridium perfringens が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:血液(血液培養)
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium perfringens
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 Clostridium perfringens(ウェルッシュ菌)はグラム染色で大型のグラム陽性桿菌を呈するが、芽胞は観察できない特徴がある。
 培養検査の結果、Clostridium perfringensと同定された。

Clostridium perfringensの特徴

  1. ヒトや動物の消化管や土壌・泥中に混在する。
  2. 芽胞および莢膜を有するが、非運動性である。
  3. 本菌はα、βなど致死作用のある毒素を産生する。
  4. ヒトの疾患から分離されるのはA型菌が多い。
  5. 本菌による食中毒は感染型である。
  6. 嵐の発酵と呼ばれるように強いガス産生がある。
  7. 血液寒天培地で二重溶血帯を生じる。
    ※冷蔵庫保存で顕著に出現
  8. 逆CAMP試験は陽性である。
    Streptococcus agalactiaeを使用

Clostridium sordellii が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:血液(血液培養)
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium sordellii
■培地名:-
■年 齢:70
■性 別:男性
■解 説
 Clostridium sordellii はガス壊疽菌のひとつで、Clostridium perfringens に比べやや小さなグラム陽性桿菌であるが、 C. perfringensと同様にグラム染色で芽胞は観察できない特徴がある。
 本症例はMALDI Biotyterによる質量分析および16S rRNA遺伝子解析の結果、Clostridium sordellii と同定された。

・ガス壊疽菌
 ガス産生菌の感染により皮下内にガスがたまる進行性の感染症で、激痛と共に皮膚の水疱や血行障害を起こし、筋肉組織が壊死する。進行は急激で、頻脈、血圧低下、発汗を呈し、ショックなどを起こし死亡する事がある。

Clostridium perfringens が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:血液(血液培養)
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium perfringens
■培地名:ブルセラHK(RS)寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側上スライド
 血液培養の嫌気ボトルのみ陽性反応を示し、ツベルクリン用注射器にて培養液を採取する際、大量のガス産生が観察された。

②左右側下スライド
 白血球および赤血球は認められず、多数のグラム陰性桿菌と少数の大型のグラム陽性桿菌が観察された。この時点では大型のグラム陽性桿菌は嫌気ボトルのみから検出され、かつ芽胞が認められないことより Clostridium perfringens を強く疑った。また、グラム陰性桿菌は丸みを帯びた形態を呈していたため腸内細菌科細菌が推定された。
 培養検査の結果、 Clostridium perfringens と同定された。

③右側上スライド
 エタノール処理後にブルセラHK(RS)寒天培地に塗布して嫌気培養を実施した結果、 Clostridium spp.を疑うような集落の周囲が不均一性の形態を示した。

Clostridium perfringens の特徴

  1. ヒトや動物の消化管や土壌・泥中に混在する。
  2. 芽胞および莢膜を有するが、非運動性である。
  3. 本菌はα、βなど致死作用のある毒素を産生する。
  4. ヒトの疾患から分離されるのはA型菌が多い。
  5. 本菌による食中毒は感染型である。
  6. 嵐の発酵と呼ばれるように強いガス産生がある。
  7. 血液寒天培地で二重溶血帯を生じる。

膿汁から複数菌が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:非開放性膿
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Eschrichia coli
     Klebsiella pneumoniae
     Enterobacter cloacae
     Enterococcus faecalis
     Enterococcus faecium
     Clostridium perfringens
     Bacteroides fragilis
     Bacteroides thetaiotaomicron
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側上スライド
 腹腔内膿瘍の検体で、悪臭を伴う褐色の膿汁であった。

②右側(グラム染色像)スライド
 好中球には複数の貪食された細菌が多数認められ、周囲にもグラム陽性球菌からグラム陰性桿菌、グラム陽性桿菌などが多数観察された。

③左側下スライド
 培養検査の結果、好気性菌はEschrichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium と同定された。
 嫌気性菌はClostridium perfringens, Bacteroides fragilis, Bacteroides thetaiotaomicron と同定された。なお、 Clostridium spp.は周囲が不均一性の集落を形成する特徴がある。

・ 嫌気性菌を疑うポイント

  1. 悪臭のある臨床検体
  2. 閉鎖性の膿瘍(脳膿瘍、肺膿瘍、皮下膿瘍など)
  3. 腹腔内感染症(肝膿瘍、横隔膜下膿瘍など)
  4. 婦人性器感染症(膣炎、付属器炎など)
  5. 塗抹検査陽性、好気培養陰性の検体
  6. アミノグリコシド系薬が無効な感染症
  7. 抗菌薬投与後の下痢症
  8. ABPCやCEZが無効な感染症
  9. 壊疽、土で汚染された壊死組織
  10. 膿汁中のドルーゼ(硫黄顆粒、菌塊)

Clostridium tetani が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:皮膚分泌物
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium tetani
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側スライド
 皮膚分泌物のグラム染色では先端に芽胞を有するグラム陽性桿菌(太鼓のバチ状)が認められる。一般的にClostridium tetani が推定されるが、断定することは難しい。

②右側スライド
 GAM半流動培地にて増菌したC. tetani のグラム染色像を示した。臨床材料では先端に芽胞を認めたが、増菌培養では亜先端芽胞の形態を示した。したがって、培養法によっては、C. tetani 特有の太鼓のバチ状を呈さないことを知っておく必要がある。
 本症例はMALDI Biotyterによる質量分析および16S rRNA遺伝子解析の結果、Clostridium tetani と同定された。

Clostridium tetani の特徴

  1. 土壌に広く分布する。
  2. 形態は太鼓のバチ状を示し、周毛性の鞭毛にて運動する。
  3. ブルセラHK(RS)寒天培地などでは遊走したフィルム状の発育を呈する。
  4. 血液成分添加では溶血帯を認める。
  5. 強直性麻痺を起こす神経毒:テタノスパスミンを産生する。
    ※後弓反射が特徴
  6. 破傷風ヒト免疫グロブリンによる血清療法が用いられる。

Clostridium tetani のグラム染色とウィルツ染色の症例
■分 類:一般細菌
■材 料:皮膚分泌物
■その他:-
■染色法:グラム染色
     ウィルツ染色
■菌種名:Clostridium tetani
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側スライド
 皮膚分泌物のグラム染色では先端に芽胞を有するグラム陽性桿菌(太鼓のバチ状)が認められる。一般的にClostridium tetani が推定されるが、断定することは難しい。

②右側スライド
 純培養後のC. tetani におけるWirtz(ウィルツ)染色像を示した。芽胞はマラカイト緑液にて緑色、菌体はサフラニンにて薄い赤色に染まる特徴がある。

・ Wirtz(ウィルツ)染色法
 標本は火炎又はメタノール液にて固定を行い、5%マラカイト緑液を十分に塗抹の上に添加し、継続的に2〜5分程度加温染色を実施する※(加温の際マラカイト緑液を沸騰させないよう注意し、液面から湯気がでたら火を引き、塗抹上の染色液が少し冷めてから、必要に応じて5%マラカイト緑液を少し追加し、再度加温する)。その後、水洗を行い、 0.5%サフラニン液を塗抹の上に十分添加して約30秒程度染色する。染色後は水洗を実施し、顕微鏡にて観察する。

Clostridium difficile の症例
■分 類:一般細菌
■材 料:便
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium difficile
■培地名:CCFA寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①右側スライド
 大型のグラム陽性桿菌が観察される。芽胞については培養条件により出現の有無が異なる。なお、 Clostridium difficile は形態のみでは推定できない。

②左側スライド
 嫌気的環境下における35℃、48時間のCCFA寒天培地でのC. difficile の発育集落像を示した。 C. difficile は黄白色の集落を形成し、集落の周囲は不均一性の形態を示した。

Clostridium difficile の特徴

  1. 抗菌薬投与中に発症した下痢便が検査対象となる。
  2. 亜端在性の芽胞を有するが莢膜は保有しない。
  3. 周毛性鞭毛にて運動する。
  4. 抗菌剤のサイクロセリンやセフォキシチンを含むCCFA培地、CCMA培地などを使用する。
  5. 毒素にはトキシンA:腸管毒、トキシンB:細胞毒の2種類が存在する。
  6. ヒトの消化管に生息する。
    ※1歳以下の乳児:約90%、成人:約7~14%保有
  7. 偽膜性大腸炎や抗菌薬関連下痢症の原因菌となる。
  8. 代表的な院内感染の菌種である。
  9. 治療薬はバンコマイシンやメトロニタゾールが有効である。
  10. 検査法にはイムノクロマト法、ELISA法、PCR法、培養法などがある。

ブルセラHK寒天培地(RS)に発育したClostridium tetani の症例
■分 類:一般細菌
■材 料:ドレーン廃液
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Clostridium tetani
■培地名:ブルセラHK(RS)寒天培地
■年 齢:83
■性 別:女性
■解 説
 本症例は83歳女性、腹部膨満と下血により当院に救急搬送された。腹部CTにより小腸ガス、腸液貯留像を認め、イレウスとの診断にて緊急手術が行われ、ダグラス窩にドレーンが留置された。同日、採取されたドレーン廃液の培養検査が提出され、遠心分離後の沈渣をアネロウサギ血液寒天/PV寒天培地を用い、35℃嫌気条件下で分離培養した。2日後、フィルム状に遊走発育した極少量の集落が観察され、集落のグラム染色ではClostridium spp.が推定されたため迅速同定を目的に質量分析計MALDI Biotyper を使用した結果、C. tetani(破傷風菌)と同定された。画像はフィルム状に遊走発育した極少量のC. tetani をブルセラHK(RS)寒天培地に再分離した時の発育像である。

Clostridium tetanii の特徴

  1. 動物の腸管や土壌中に広く分布する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌である。
  2. 神経毒であるTetanospasminを産生し、破傷風を引き起こす。
  3. 破傷風は罹患すると急激な臨床経過を辿り、極めて致死率が高い。
  4. 破傷風の診断ではC. tetani が分離・同定されることは珍しく、筋緊張亢進と強直性痙攣などの臨床症状から診断する場合が多い。

複数材料からClostridium perfringens が検出された症例
■分 類:一般細菌
■材 料:複数材料
     血液・尿・胆汁
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:Clostridium perfringens
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側上スライド
 患者の血液を採取した結果、右の採血管では血清成分と赤血球層は認め難く、左の採血管に比べ大部分が溶血を呈していた。

②右側上スライド
 尿および胆汁からもClostridium perfringens(ウェルッシュ菌)が検出された。

③左側下スライド
 血液の直接グラム染色で菌体が認められることは極めて稀なことである。本症例では血液中に多くのC. perfringens が存在していたことを意味する。
 培養検査の結果、 Clostridium perfringens と同定された。

※一般的に菌血症あるいは敗血症を呈する菌量は≦1cfu/mLと言われているため、血液量は約20mLを採血し、2セットの血液培養を実施することが推奨されている。

④右側下スライド
 尿のグラム染色では多数のグラム陽性双球菌(腸球菌疑い)のなかにグラム陽性桿菌の存在が観察される。 C. perfringens はグラム染色で芽胞は観察できない特徴がある。一般的に尿検体では嫌気培養を実施しないが、本症例では血液培養および胆汁からC. perfringens が検出されたため嫌気培養を実施した結果、C. perfringens が検出された。

Clostridium spp.を効率良く検出するための症例
■分 類:一般細菌
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Clostridium spp.
■培地名:ブルセラHK(RS)寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説

①左側スライド
 糞便をエチルアルコール処理なしで、嫌気性菌用培地であるブルセラHK(RS)寒天培地に分離した時の発育集落の状況を示した。本培地には通性嫌気性菌から偏性嫌気性菌まで多くの細菌が発育した。 Clostridium spp.の発育も認められるが、純培養状に発育した集落は認められなかった。

②右側スライド
 糞便をエチルアルコール処理した結果、芽胞を保有しない細菌はエチルアルコールで殺菌されるため純培養状にClostridium spp.のみ発育が認められた。

Clostridium difficile のE-テストによる薬剤感受性試験
■分 類:一般細菌
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Clostridium difficile
■培地名:ブルセラHK(RS)寒天培地
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 Clostridium difficile は嫌気性菌のため薬剤感受性試験も嫌気的環境下で実施する必要がある。現在、我が国では嫌気性菌も含め微量液体希釈法で実施している施設が多い。 C. difficileも微量液体希釈法で実施可能ではあるが、治療薬についてはバンコマイシンとメトロニタゾールに限定されるため、簡易法としてE-テストによる薬剤感受性試験を実施している施設もある。

・ E-テストによる薬剤感受性試験
 E-テストは寒天培地上において抗菌薬の拡散を利用した測定法であり、簡易的にMICを測定できる利点がある。 E-テストは細長いストリップの上部から各抗菌薬の濃度目盛りが記載され、MICの判定はストリップの周囲に生じる発育阻止帯を目盛りより読み取りMIC値を求める。

Clostridium perfringens による嵐の発酵
■分 類:一般細菌
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:Clostridium perfringens
■培地名:スキムミルク
■年 齢:-
■性 別:-
■解 説
 Clostridium perfringens は大量のガスを発生させ、かつ組織を壊死される種々の酵素を産生するためガス壊疽菌に含まれている。そのため、スキムミルクなどの乳性品を使用すると蛋白が凝固し、かつ吹き上がるような状態を嵐の発酵と呼ぶ。

・ガス壊疽菌
 ガス産生菌の感染により、皮下内にガスがたまる進行性の感染症である。激痛とともに皮膚の水疱や血行障害を起こし筋肉組織が壊死となる。進行は急激で、頻脈、血圧低下、発汗を呈し、ついにはショックとなり死亡する。
 代表的な菌種にはウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、ノービイ菌(C. novyi)、スポロゲネス菌(C. sporogenes)、セプチクム菌(C. septicum)などがある。

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