微生物検査
[菌種別]その他
■材 料:喀痰
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左側上スライド
右側部分は慢性の呼吸器感染像が疑われるが、中央には多数の扁平上皮細胞のみが認められ、微生物検査には適しない検査材料と判断された。
②右側上スライド
カルバペネム系抗菌薬使用で炎症は抑制されているが、フィブリンの析出が多いため強い炎症が起こったと推定される。なお、本症例でも扁平上皮細胞の混入が認められ、微生物検査には適しない検査材料と判断された。
③左側下スライド
胃内容物が逆流し、喀痰に混入したでんぷんと思われる球状の物質が認められた。本症例も微生物検査には適しない検査材料と判断された。
④右側下スライド
好中球と扁平上皮が入り混じった喀痰で、好中球のなかに貪食されたグラム陰性短桿菌や微小なグラム陽性球菌が観察された。本症例は唾液誤嚥の可能性があることが示唆された。この場合の起炎菌は口腔内常在菌が大部分である。
■材 料:喀痰
■その他:-
■染色法:グラム染色
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①右側上スライド
弱拡大(100倍)で観察した喀痰のグラム染色像で、好中球の集塊に扁平上皮の混入が僅かに認められる。Geckler分類では5群(白血球数>25個/視野、扁平上皮数<10個/視野)と推定され、微生物検査に適した検体と判断された。
②左側上スライド
好中球のなかに形態が若干変化したグラム陰性短桿菌や微小なグラム陽性球菌の貪食像が観察された。本症例は唾液誤嚥による誤嚥性肺炎の可能性が示唆された。
③左右側下スライド
フィブリンの析出した好中球のなかに貪食された僅かなグラム陽性球菌とグラム陰性双球菌様の形態が観察された。唾液誤嚥による誤嚥性肺炎では口腔内に常在する細菌が起炎菌となるため、培養検査では口腔内常在菌のみが検出されることが多い。
■材 料:便
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左側上スライド
サルモネラ腸炎の糞便である。水分の多い粘血便が多いが、緑色を呈する粘液便のこともある。
②中央側上スライド
カンピロバクター腸炎の糞便である。古典的な粘血便が多いが、水様性の粘血便や血液が少ない泥状便のこともある。
③右側上スライド
ベロ毒素産生性大腸菌腸炎の糞便である。鮮血便が多いが、粘血便を示すこともある。
④左側下スライド
腸炎ビブリオの糞便である。多くは黄褐色の水様便であるが、急性期には水様血便を示すこともある。
⑤中央側下スライド
コレラの糞便である。大量の水様便で、米のとぎ汁様便を呈するのが特徴である。
⑥右側スライド
軟便の糞便である。軟便・硬便では感染性腸炎の原因菌は検出されないことが多い。
■材 料:その他
■その他:菌種の鑑別ポイント
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
① 集落の大きさ、色調、形態、推定菌種、鑑別ポイントの順に示した。
※E. coli はESBL, CREの耐性菌に 注意する
※Citrobacter spp.は薬剤耐性株が多い
※ペニシリン系には自然耐性
※ESBL, CREの耐性菌に注意する
※緑膿菌は線香臭
※集落の外側は不規則
※M型緑膿菌はKlebsiella 様の粘液質
※キングA,Bおよびアシルアミダーゼ反応は陽性
※P. aeruginosa の場合、IPM, AMK, CPFXの3薬剤に耐性の時はMDRPと判断する
※B. cepaciaはヒビテンに耐性
※Acinetobacter spp.の場合、 IPM, AMK, CPFXの3薬剤に耐性の時はMDRAと判断する
※Serratia spp. は赤色の色素を産生する株がある
※VCM,TEICが耐性の時は医師に連絡する
※MRSAが疑わしい時はMRSAスクリーニング培地に純培養する
※Staphylococcus aureusの場合、オキサシリン(MPIPC)で4µg/ml以上の場合はMRSAと判断する
※VCM,TEICが耐性の時は医師に連絡する
■材 料:その他
■その他:菌種の鑑別ポイント
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
① 溶血性、集落の大きさ、色調、推定菌種、鑑別ポイントの順に示した。
※バシトラシンに感性
※PCGに感性
※CAMPテストは陽性
※コアグラーゼ試験の凝集反応で確認:陽性
※MRSAが疑わしい時はMRSAスクリーニング培地などに純培養する
※オキサシリン(MPIPC)に4µg/ml以上の場合はMRSAと判断する
※VCM,TEICが耐性の時は医師に連絡する
※コアグラーゼ試験の凝集反応で確認:陰性
※Candida spp.はクロムアガ-寒天培地に培養して確認する
※集落の色調は黄白色を呈する
※M. catarrhalisは鼻汁からの検出が多い
※VCM,TEICが耐性の時は医師に連絡する
※Neiserria spp.は釣菌時に培地から菌体ごと剥れる
※VCM,TEICが耐性の時は医師に連絡する
※集落の中央が陥没又M型を呈する
※オプトピンに感性
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左右側上スライド
滅菌した白金線などでスライド右のように、新しく切り取った寒天培地に真菌を接種する
(糸状菌と酵母菌では接種の方法が異なる)。
※酵母菌ではカバーグラスを使用し、対角線に少し切れ込みを入れると接種し易い。
②左側下スライド
正方形に切り取った寒天培地(1cm前後)の上にカバーグラスを載せ、シャーレに蓋をして、糸状菌は27~30℃、酵母菌は35℃前後の好気的環境下で培養する。
③右側下スライド
培養中は適時、濾紙の湿潤状態を確認し、乾燥している場合には滅菌生食水または滅菌精製水を添加する。カバーグラス全面に真菌の発育が認められたらガバーグラスを外す。
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左側上スライド
新しいスライドグラスにラクトフェノール・コットンブルー染色液を1滴滴下し、真菌が付着したガバーグラスを静かに染色液の上に載せ、顕微鏡(100倍~400倍)にて観察する。
②左側下スライド
真菌の培養で主に使用するポテト・デキストロース寒天培地およびサブロー寒天培地の特徴を記載した。
③右側上スライド
糸状菌の検査で主に使用する簡易のセロファンテープ法を示した。セロファンテープ はスライドグラスより長めに切り取る。切り取ったセロファンテープの粘着部分を静かに糸状菌の表面に押し付ける。
④右側下スライド
新しいスライドグラスにラクトフェノール・コットンブルー染色液を1滴滴下し、その上に切り取ったセロファンテープの粘着部分を静かに付着させて、顕微鏡(100~400倍)で観察する。
■材 料:髄液
■その他:-
■染色法:墨汁染色
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
培養検査の結果、 Cryptococcus neoformans の発育は認められなかった。
・本症例での注意点
髄液の墨汁染色で莢膜部分が白く抜けたような像が観察された場合には、さらに核の周囲が均等に形成されているか否かを確認してC. neoformans を推定することが重要である。
・Cryptococcus neoformans の特徴
- 世界中に広く分布し、 クリプトコッカス症を起こす。
※新分類ではFilobasidiella neoformans である。 - ハト・ニワトリなどの鳥類の糞とそれに汚染された土壌より高頻度に分離される。
- 細胞の周囲には厚い莢膜を有する。
- 集落は粘稠のクリーム状集落を形成、尿素分解菌、日本ではA型が主流である。
- 検査材料は膿汁、喀痰、分泌物、髄液が対象となる。
- 白血病、エイズ、結核など抵抗力が低下したヒトから検出され易い。
- 肺クリプトコッカス症、クリプトコッカス性髄膜炎、皮膚粘膜クリプトコッカス症を起こす。
- 治療にはアンホテンシンBが有効である。
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左側上(アネロ型分生子)スライド
菌糸、分生子柄あるいはアネライド、アネリド(分生子形成細胞の一種)の一定の成長点から、次々と分生子を生じるごとに同部が少しずつ伸び、前の分生子が離れた蹟が環状(環紋)に残る。また、産生されたアネロ型分生子は粘性に包まれてアネライド先端にダンゴ状に集まる特徴がある。
②右側上(アレウリオ型分生子)スライド
この分生子は菌糸の先端あるいは側柄が球形、円筒形に肥大して生じる。また、細胞壁も厚くなり、しばしば横隔壁も生じる。分生子を保持している菌糸との間にくびれはない。しかし、分生子直下の細胞が乾枯した場合には分生子は離断される。
③左側下(シンポジオ型分生子)スライド
菌糸、分生子柄あるいはシンジュラ(分生子形成細胞の一種)の小突起上に1個づつ並列して生じる分生子である。この分生子形成は分生子柄の先端の分生子形成部位が移動するため、分生子はジグザグに屈曲したり、ニワトリのとさか状の配列に観察されることがある。
④右側下(フィアロ型分生子)スライド
フィアライドと呼ばれる分生子形成細胞の先端開口部より産生される分生子である。また、フィアライド開口部に細胞壁の一部がえり状に付着している部分をカラレットと呼ぶ。この分生子にはダンゴ状になる菌種と求基的連鎖を示す菌種が存在する。
■材 料:その他
■その他:-
■染色法:-
■菌種名:-
■培地名:-
■年 齢:-
■性 別:-
①左側上(出芽型分生子)スライド
最初に菌糸、分生子柄に小突起が生じる。この小突起が大きくなり分生子を形成すると同時に母胞との接着面が狭くなる、形成された分生子は次々に出芽して分生子の連鎖を形成する。
②右側上(厚膜分生子)スライド
菌糸先端あるいは中間で細胞質が凝集し、厚い壁でかこまれている一種の耐久形で、多くの菌に共通してみられる。
③左側下スライド
Aspergillus spp.の形態学的特徴は1)菌糸状の分生子柄の先にはフラスコ型の頂嚢が存在する。2)頂嚢には梗子(メツラ)とフィアライドを形成する。3)フィアライドの先には分生子が形成される。Penicillium spp.の形態学的特徴は1)パンやお餅に発育する糸状菌で、集落は青緑~灰緑の緑色系統が多い。 2)頂嚢は"ほうき状"の形態を示すためAspergillus spp.との鑑別は容易である。
④右側下スライド
Mucor spp.の胞子嚢柄は菌糸に対して垂直に形成し、仮根は認められない。Rhizopus spp.の胞子嚢柄は菌糸に対して垂直に形成し、仮根は分生子柄を形成した菌糸の直下に形成する。Absidia spp.の胞子嚢柄は菌糸に対して垂直に形成し、仮根は分生子柄を形成した菌糸から離れて形成する。頂嚢の周囲は球形の胞子嚢を形成し、このなかには多数の胞子嚢胞子が存在する。